【かんたん解説】マンションの相続税が払えないときの5つの対処法
マンションを相続して「相続税が払えない」と困ることは珍しくありません。
「マンションの相続税が払えない」という状況になってしまった場合、悩んでいるだけでは何も解決しません。
相続税は、財産を持っていた方が亡くなってから10ヶ月以内に払わなくてはいけません。
マンションの相続手続きには時間がかかることが多いため、10ヶ月では足りないことが多いです。
どのように対処すればいいのかを迅速に判断し、なるべく早く対処していく必要があります。
マンションの相続税が払えないときの対処法は5つあります。
- 延納を申請する
- 物納を利用する
- 相続したマンションを売却して納税資金に充てる
- 金融機関から借り入れる
- 相続放棄する
この記事では、5つの対処法を分かりやすく説明していきます。
相続税の基礎控除やマンションの相続税評価方法、マンションの相続税に関する最新情報もお伝えします。
一通り読むことで、適切に対処できるようになり、マンションの相続税を問題なく払えるようになるでしょう。
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マンションの相続税は基礎控除を超えていなければ払う必要なし!
相続税には「基礎控除」というものが存在します。
基礎控除とは、「相続財産の相続税評価額が一定の金額以下の部分は、相続税が非課税となる制度」です。
相続財産全体の相続税評価額が基礎控除額以下の場合、マンションの相続税はかからないということです。
相続税の基礎控除額の計算方法
相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。
法定相続人の数に応じて変動し、法定相続人が多くなるほど基礎控除額は上がっていきます。
法定相続人の数別の基礎控除額は下記の通りです。
法定相続人の数 | 基礎控除額 | 計算式 |
---|---|---|
1人 | 3,600万円 | 3,000万円+600万円×1人 |
2人 | 4,200万円 | 3,000万円+600万円×2人 |
3人 | 4,800万円 | 3,000万円+600万円×3人 |
4人 | 5,400万円 | 3,000万円+600万円×4人 |
5人 | 6,000万円 | 3,000万円+600万円×5人 |
例えば、法定相続人が3人の場合、基礎控除額は4,800万円になるため、相続財産全体の評価額が4,800万円を超えない限りマンションの相続税はかかりません。
「マンションの相続税が払えない」と心配する必要もありません。
相続財産全体の評価額が4,800万円を超えている場合は、「相続財産全体の評価額−4,800万円」に相続税がかかってきます。
相続財産全体の評価額が1億円の場合、5,200万円(=1億円−4,800万円)に相続税がかかってくるということです。
マンションの相続税の計算方法を知って、いくら払えないのかを計算しよう!
マンションの相続税が払えないと感じた場合、まずはマンションの相続税を計算し、いくら払えないのかを把握することが重要です。
マンションの相続税を計算する手順は次の通りです。
- マンションの相続税評価額を計算する
- 適用される相続税率を把握する
- 「(マンションの相続税評価額−基礎控除額)×相続税率」でマンションの相続税を算出する
ここでは、マンションの相続税評価額の計算方法・相続税率などを説明していきます。
マンションの土地部分の相続税評価額を計算するときに使う2つの方式
マンションの土地部分の相続税評価額を計算するときには、主に2つの方式が使われます。
正確に評価するには、それぞれの方式の特徴を理解することが重要です。
①路線価方式
路線価方式は、国税庁が公表する土地1㎡あたりの価格(これを路線価と呼ぶ)を基に、マンションの土地部分の相続税評価額を計算する方法です。
「マンションの土地部分の相続税評価額=路線価×相続したマンションの持ち分土地面積」となります。
例えば、路線価100万円・相続したマンションの持ち分土地面積100㎡の場合、マンションの土地部分の相続税評価額は1億円(=100万円×100㎡)となります。
路線価は市場価格の60〜80%程度で設定されていることが多いです。
国税庁のサイトで路線価が公開されていますので、ぜひご確認ください。
②倍率方式
倍率方式は、固定資産税評価額に一定の倍率をかけて、マンションの土地部分の相続税評価額を計算する方法です。
「土地部分の相続税評価額=固定資産税評価額×倍率」となります。
例えば、マンションの土地部分の固定資産税評価額が1億円・倍率1.2の場合、相続税評価額は1億2000万円(=1億円×1.2)となります。
土地の固定資産税評価額は市区町村が毎年決定していて、市場価格の55〜75%程度で設定されていることが多いです。
倍率は土地の種類や地域によって変わりますので、国税庁のサイトでぜひご確認ください。
マンションの相続税評価額は土地と建物を別々に計算する
マンションは、土地部分の相続税評価方法と建物部分の相続税評価方法が異なります。
それぞれを個別に計算し、合算したものがマンションの相続税評価額となります。
それぞれの相続税評価額の計算方法を理解し、正確に算出しましょう。
2024年1月から、相続税評価額が市場価格の60%未満のマンションでは、相続税評価額の計算方法が変わりました。
マンションの相続税評価額が「最低でも市場価格の60%程度」となるような計算方法になりました。
高層階のマンションほど影響を受けやすいです。
詳しくは「マンションの相続税に関する最新情報」で解説していますので、ぜひご確認ください。
マンションの土地部分における相続税評価額の計算方法
マンションの土地部分の相続税評価額を計算するときは、前述の路線化方式を用いるのが一般的です。
路線価方式の方が、倍率方式よりも相続税評価額が低くなることが多いからです。(=相続税が低くなることが多い)
地方では路線価が設定されていないことがあり、その場合は倍率方式を用います。
前述の通り、路線価方式では「マンションの土地部分の相続税評価額=路線価×相続したマンションの持ち分土地面積」で計算します。
マンションの持ち分土地面積は「マンション全体の土地面積×マンションの土地の持ち分比率」で算出されます。
例えば、相続したマンション全体の土地面積が1,000㎡・マンション全体が50室の場合、土地の持ち分比率は2%となり、相続したマンションの持ち分土地面積は20㎡(=1,000㎡×2%)となります。(注)
マンションの持ち分土地面積とマンション全体の土地面積は大きく異なりますので、注意が必要です。
注.階数や部屋の間取りなどで土地の持ち分比率は変わるため、上記の例のように簡単には計算できませんが、説明をわかりやすくするために上記の例を挙げています。
マンションの建物部分における相続税評価額の計算方法
マンションの建物部分の相続税評価額には、マンションの建物部分の固定資産税評価額がそのまま適用されます。
「マンションの建物部分の相続税評価額=マンションの建物部分の固定資産税評価額」ということです。
例えば、建物の固定資産税評価額が5,000万円のマンションを相続した場合、マンションの建物部分の相続税評価額は5,000万円となります。
土地部分の相続税評価で用いる倍率方式のように、固定資産税評価額に倍率を掛ける必要はありません。
建物の固定資産税評価額は、市区町村が建物の構造・築年数などを加味して決定しています。
毎年送られてくる「固定資産税の課税明細書」に載っていますので、そちらをご確認ください。
マンションの相続税率
マンションの相続税率は、課税価格に応じて変わります。
「課税価格=マンションの相続税評価額−基礎控除額」で計算され、課税価格が高くなるほど相続税率は高くなっていきます。
相続税率は下記の通りです。
課税価格 | 税率 |
---|---|
1,000万円以下の部分 | 10% |
1,000〜3,000万円の部分 | 15% |
3,000〜5,000万円の部分 | 20% |
5,000万〜1億円の部分 | 30% |
1〜2億円の部分 | 40% |
2〜3億円の部分 | 45% |
3〜6億円の部分 | 50% |
6億円以上の部分 | 55% |
マンションの相続税の計算例
マンションの相続税は「(マンションの相続税評価額−基礎控除額)×相続税率」で計算されます。(※ 前述の通り、「マンションの相続税評価額−基礎控除額」を課税価格と言う)
ここでは、計算例を挙げて、マンションの相続税がどのように算出されていくのかを見ていきます。
マンションの相続税額をより正確に把握できるようになるでしょう。
注.説明をわかりやすくするために、「マンション以外の相続財産がない」という前提で計算例を記載しています。
計算例1:相続税評価額1,000万円のマンションの場合
結論、相続税評価額1,000万円のマンションの場合、相続税はかかりません。
「基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数」であり、法定相続人が1人しかいなかったとしても3,600万円の基礎控除があります。
課税価格が0円以下(=1,000万円−3,600万円)となるため、マンションの相続税は発生しません。
この場合、「マンションの相続税が払えない」と心配する必要はありません。
相続税の申告すら不要です。
計算例2:相続税評価額1億円のマンションの場合
相続税評価額1億円のマンションの場合、法定相続人の数別の課税価格は下記の通りです。
法定相続人の数 | 課税価格 | 計算式 |
---|---|---|
1人 | 6,400万円 | 評価額1億円−基礎控除額3,600万円 |
2人 | 5,800万円 | 評価額1億円−基礎控除額4,200万円 |
3人 | 5,200万円 | 評価額1億円−基礎控除額4,800万円 |
4人 | 4,600万円 | 評価額1億円−基礎控除額5,400万円 |
5人 | 4,000万円 | 評価額1億円−基礎控除額6,000万円 |
法定相続人が3人の場合、課税価格5,200万円に下記の相続税率をかけたものがマンションの相続税となります。(※ 相続税率の「マンションの相続税率」で記載)
- 5,200万円のうち1,000万円の部分:10%
- 5,200万円のうち2,000万円の部分:15%
- 5,200万円のうち2,000万円の部分:20%
- 5,200万円のうち200万円の部分:30%
計算すると、マンションの相続税は860万円(=1,000万円×10%+2,000万円×15%+2,000万円×20%+200万円×30%)となります。
マンションの相続税860万円を払えないのであれば、実際に対処していく必要があります。
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マンションの相続税を軽減させる4つの控除・特例制度
マンションの相続税を軽減してくれる控除や特例制度が用意されています。
これらを有効活用することで、相続税の負担を大幅に減らすことができます。
ここでは代表的な4つを紹介していきます。
特例制度を利用するには、相続税申告が必要です。
相続税評価額が基礎控除額を超えずに相続税が0円だった場合、相続税申告は不要です。
しかし、特例制度を使って相続税が0円になった場合は、相続税が0円でも相続税申告しなくてはいけません。
制度1:小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例とは、「次のいずれかの人はマンションの土地部分の相続税評価額を最大80%減額できる制度」です。
- 配偶者
- 被相続人が亡くなったときに同居していた親族
- 特定の要件を満たす同居していない親族(注)
マンションの種類によって減額幅は変わります。
マンションの種類 | 減額幅 |
---|---|
被相続人が居住していたマンション | 330㎡までの部分は80%減額 |
被相続人が事業に使用していたマンション | 400㎡までの部分は80%減額 |
被相続人が貸付事業に使用していたマンション | 200㎡までの部分は50%減額 |
例えば、被相続人が居住していたマンションの土地の相続税評価額が1億円・持ち分土地面積が500㎡の場合、マンションの土地の相続税評価額は4,720万円(=1億円−1億円×{330㎡/500㎡}×80%)となります。
マンションの相続税負担を大幅に抑えられるため、要件を満たすのであれば、確実に利用した方がいいでしょう。
注.被相続人に配偶者いない・被相続人が亡くなったときに同居していた親族がいないなどの複数の要件を満たす必要があります。詳しくは税理士などの専門家にお聞きください。
制度2:配偶者控除
配偶者控除は、被相続人の配偶者への相続税に適用される特例です。
次のいずれか大きい金額が相続税評価額から控除されます。
- 1億6,000万円
- 法定相続分(※)
例えば、配偶者が相続税評価額1億円のマンションを相続する場合、相続税計算するときのマンションの相続税評価額は0円以下(=1億円−1億6,000万円)となり、配偶者の相続税は無税となります。
法定相続人が配偶者と子ども、相続財産全体の相続税評価額が8億円、配偶者が相続税評価額5億円のマンションを相続する場合、配偶者が相続税計算するときのマンションの相続税評価額は1億円(=5億円−8億円×1/2)となり、1億円に相続税率を掛けたものが配偶者の相続税となります。
配偶者がマンションを相続する場合は確実に利用した方がいい控除でしょう。
※ 相続人別の法定相続分
- 相続人が配偶者のみの場合、相続財産全体の相続税評価額の全額
- 相続人が配偶者と子どもの場合、相続財産全体の相続税評価額の1/2
- 相続人が配偶者と被相続人の親の場合、相続財産全体の相続税評価額の2/3
- 相続人が配偶者と被相続人の兄弟の場合、相続財産全体の相続税評価額の3/4
制度3:未成年者控除
未成年者控除は、18歳未満の相続人への相続税に適用される控除です。
相続人が18歳になるまでの年数に応じて控除額が算出されます。
「控除額=10万円×(18歳−現在の年齢)」で計算されます。
例えば、10歳の子どもがマンションを相続する場合、マンションの相続税評価額から80万円(=10万円×{18歳−10歳})が控除されます。
未成年がマンションを相続する場合は確実に利用した方がいい控除でしょう。
制度4:障害者控除
障害者控除は、障害者の相続人への相続税に適用される控除です。
相続人が85歳になるまでの年数に応じて控除額が算出されます。
「控除額=10万円×(85歳−現在の年齢)」で計算されます。
例えば、40歳の障害者がマンションを相続する場合、マンションの相続税評価額から450万円(=10万円×{85歳−40歳})が控除されます。
障害者がマンションを相続する場合は確実に利用した方がいい控除でしょう。
マンションの相続税が払えない場合とその他の不動産の相続税が払えない場合の2つの違い
マンションの相続税が払えない場合と、戸建て・土地・アパートなどのその他不動産の相続税が払えない場合では、2つの違いがあります。
これらの違いを理解することで、適切な対処法を見つけることができます。
違い1:マンションは相続税評価額が低くなりやすい
マンションは持ち分土地面積が小さくなる傾向があるため、戸建て・土地・アパートなどのその他の不動産よりも土地部分の相続税評価額が低くなりやすいです。(=相続税も低くなりやすい)
タワーマンションのような階数が多く・1棟あたりの室数が多いマンションほど、この傾向は強くなります。
例えば、「広さ100㎡」「路線価100万円」が全く同じ戸建てとマンションがあった場合、それぞれの土地部分の相続税評価額は下記の通りになります。(注)
物件の種類 | 土地部分の相続税評価額 | 計算式 |
---|---|---|
戸建て | 1億円 | 100万円×100㎡ |
マンション | 1,000万円 | 1階ごとに10室・10階建てを想定した場合、次の通りになり、土地部分の相続税評価額は100万円×10㎡となる。 ・マンションの土地面積:1,000㎡(=100㎡×10室) ・室数の合計:100室(=10室×10階) ・1室あたりの持ち分土地面積:10㎡(=1,000㎡÷100室) |
戸建て・土地・アパートなどのその他不動産の相続税が払えない場合よりも、マンションの相続税が払えない場合の方が問題を解決しやすいと言えるでしょう。
注.
戸建てでは庭・駐車場などがあったら土地部分の相続税評価額は変わりますし、マンションでは階数・間取り・広さなどで土地の持ち分比率は変わります。
上記の例のように簡単には計算できませんが、説明をわかりやすくするために上記の例を挙げています。
違い2:マンションは比較的現金化しやすい
マンションは土地よりは現金化しにくく、戸建て・アパートよりは現金化しやすいです。
理由は次の通りです。
マンションと比較する物件 | 比較したときの特徴 |
---|---|
土地 | マンションは間取り・仕様が決まっているが、土地は一から好きな家を建てられる。 ゆえに、マンションの方が買ってくれる人を見つけづらい。 |
戸建て | マンションは誰でも使いやすい間取り・仕様になっているが、戸建ては間取り・仕様にこだわりが入っている場合が多い。ゆえに、マンションの方が買ってくれる人を見つけやすい。 |
アパート | 基本的にアパートよりもマンションの方が売買金額が小さいため、マンションの方が買える人が多い。 |
その他の不動産の相続税が払えない場合よりも、マンションの相続税が払えない場合の方が「相続した不動産を売却する」という対処を取りやすいと言えるでしょう。
参考記事
マンション以外の不動産の相続税が払えない場合の対処法に関するページもございます。
お役に立つかと存じますので、ぜひご一読ください。
マンションの相続税が払えないときの5つの対処法
マンションの相続税が払えない場合の対処法は5つあります。
5つの対処法の内容・手順などを詳しく解説します。
対処法1:延納を申請する
延納は、「相続税の納付を分割で支払っていく制度」です。
延納することで、マンションの相続税を一度に支払う負担が軽減します。
延納が認められるには、次の要件を満たす必要があります。
- 相続税額が10万円以上
- 期限内に現金で一括納付できない理由がある
- 延納する相続税が100万円以上または延納期間が1年以上の場合、担保を提供する
延納の申請手順は次の通りです。
- 税理士または税務署に延納の要件を満たすか確認
- 延納申請書を作成
- 相続税の納付期限までに延納申請書を提出
マンションの相続税を延納する場合、延納期間中は基本的に3.6〜6.0%(※)の利子税がかかります。
相続税1,000万円・延納期間5年・利子税6.0%の場合、毎年の支払い額は下記の通りとなり、総支払い額は1,180万円(=260万円+248万円+236万円+224万円+212万円)になります。
年数 | 支払い額 | 計算式 |
---|---|---|
1年目 | 260万円 | (1,000万円÷5年)+1,000万円×6.0% |
2年目 | 248万円 | (1,000万円÷5年)+(1,000万円−200万円)×6.0% |
3年目 | 236万円 | (1,000万円÷5年)+(800万円−200万円)×6.0% |
4年目 | 224万円 | (1,000万円÷5年)+(600万円−200万円)×6.0% |
5年目 | 212万円 | (1,000万円÷5年)+(400万円−200万円)×6.0% |
総支払い額 | 1,180万円 | 260万円+248万円+236万円+224万円+212万円 |
現金で一括納付するよりも総支払額が多くなるため、マンションの相続税を延納する場合は毎年の支払いの目処を立ててからの方がいいでしょう。
※ 延納期間中の利子税は、不動産が相続財産に占める割合などで変動します。詳しくは国税庁のサイト「No.4211 相続税の延納|国税庁」に載っていますので、そちらをご確認ください。
対処法2:物納を利用する
物納は「現金の代わりに相続したマンションなどの財産を相続税として納付する制度」です。
例えば、相続税評価額1,000万円のマンションを物納した場合、相続税1,000万円を支払ったことになります。
物納を利用することで、現金を用意する必要がなくなります。
ただし、誰でも申請すれば物納できるわけではなく、次の要件を満たさなくてはいけません。
- 延納しても現金で納付できない
- 物納できる財産の中で優先順位が高い財産を充てる
物納する財産を自由に決められるわけではありません。
不動産・上場株式などの換金しやすい財産から順に、物納する財産を選んでいかなくてはいけません。
持ち家を持っている方が「相続したマンションよりも持ち家の方が換金しやすい」と判断された場合、持ち家を物納しなくてはいけません。
物納の申請手順は次の通りです。
- 税理士または税務署に物納の要件を満たすか確認
- 物納申請書を作成
- 相続税の納付期限までに申請書を提出
物納できる財産の優先順位などの細かな要件が設定されているため、マンションの相続税を物納するときは事前に確認しておいた方がいいでしょう。
対処法3:相続したマンションを売却して納税資金に充てる
相続したマンションを売却して、マンションの相続税を支払う方法です。
売却することで、納税資金用の現金を一気に用意できます。
ただし、マンションの売却価格全額を相続税に充てられるわけではありません。
相続したマンションを売却したときには、相続税とは別の税金や不動産会社への仲介手数料(売却代金×3%+6万円)などの譲渡費用がかかるからです。
売却時にかかる税金は、主に譲渡所得税・住民税です。
相続してから売却までの期間 | 譲渡所得税率 | 住民税率 |
---|---|---|
短期(5年以下) | 30.63% | 9.0% |
長期(5年超) | 15.315% | 5.0% |
「譲渡所得=売却価格−取得費(※1)−譲渡費用(※2)−特別控除(※3)」で計算され、譲渡所得に上記の税率が掛かってきます。
※1 取得費:亡くなった方がマンションを購入した代金や相続時の登記費用などのマンション購入にかかった費用の合計
※2 譲渡費用:不動産会社への仲介手数料などの売却にかかった費用の合計
※3 特別控除:特定の要件を満たしたときに、譲渡所得から控除される金額のこと。相続したマンションに自身が住んでいる場合や相続したマンションが空き家の場合、3,000万円控除されることがある。
相続してから3年以内にマンションを売却する場合は、取得費に「相続税額×(売却する相続したマンションの課税価格÷相続財産全体の課税価格)」を加えられるため、売却時の税金が安くなります。
例えば、次のような場合、相続税に充てられる金額の上限(実際の手残り)は下表の通りになります。
- 売却価格:3億円
- 取得費:1億5000万円
- 譲渡費用:1,000万円
- 特別控除:3,000万円(自身が住んでいたため)
- 相続してから売却までの期間:3ヶ月
- 相続税額:6,300万円
- 売却する相続したマンションの課税価格:1億8000万円
- 相続財産全体の課税価格:2億円
種類 | 金額 | 計算式 |
---|---|---|
譲渡所得 | 5,330万円 | 売却価格3億円−{取得費1億5000万円+相続税額6,300万円×(マンションの課税価格1億8000万円÷相続財産全体の課税価格2億円)}−譲渡費用1,000万円−特別控除3,000万円 |
譲渡所得税 | 1,633万円 | 譲渡所得5,330万円×税率30.63% ※ 小数点以下を四捨五入 |
住民税 | 480万円 | 譲渡所得5,330万円×税率9.0% ※ 小数点以下を四捨五入 |
相続税に充てられる金額の上限(実際の手残り) | 2億6887万円 | 売却価格3億円−譲渡所得税1,633万円−住民税480万円−譲渡費用1,000万円 |
相続したマンションを売却するときは、売却時の税金や仲介手数料などを計算し、「マンションを売却したら相続税を払えるのか?」を確認してからの方がいいでしょう。
当サービスの楽ちん相続不動産売却は、「相続手続き・相続税申告・確定申告などの面倒ごとまで丸投げ可能な相続不動産売却サービス」です。
サービスにかかる全ての代金は後払いでご利用いただけます。
マンションの相続税の支払いプランも作成いたします。
現在、マンション相続のプロによる無料相続相談を実施しています。
「マンションの相続税を支払えない場合は、この対処法が適切」「あなたの状況を加味したら、延納とマンション売却を組み合わせるのが効果的」などを、プロが無料でアドバイスいたします。
無料相続相談は相続に関する疑問・お悩みを解消する場です。
ご契約する必要は一切ありませんし、強引な営業も一切ありません。
安心して、無料相続相談をご予約ください。
対処法4:金融機関から借り入れる
マンションの相続税で払えない分を金融機関から借り入れる方法です。
借り入れることで、相続税の納税資金を一時的に用意できます。
ただし、「借りたい」と言えば、誰でも借りられるわけではありません。
借り入れするときは、金融機関に次のようなことを審査されます。
- 収入状況
- 資産状況
- 過去の返済実績
- 他からの借り入れ状況
「収入が低い」「相続したマンションの担保価値が低い」「過去の返済実績が皆無」「クレジットカードを滞納している」などがあれば、借り入れできません。
借り入れしたら、利子を払う必要があります。
相続税の納税資金を借り入れたときの金利は2〜7%程度であり、住宅ローン金利と比べると高額です。
次のようなローンを提供している金融機関もあります。
- 相続したマンションを売却前提で借りるローン
- 相続したマンションを担保に入れることを条件に借りるローン
- 資金使途が自由なフリーローン
これらのローンは銀行・地銀よりも金利が高い傾向にありますが、審査は通りやすい傾向にあります。
「銀行・地銀では審査が通らなかったけど、どうしても借り入れしたい」という場合は、一度当たっているのがいいでしょう。
なお、相続税の支払い期限は「10ヶ月」と決まっています。
金融機関によって利率や返済期間などの条件が変わりますが、正直、複数の金融機関を比較している余裕はないことが多いです。
「収入が高い」「資産が多い」という方でない限り、相続税の納税資金を貸してくれる金融機関は多くても1〜3社程度しか見つからないことが多いです。
審査が通る金融機関が見つかり、条件が合うのであれば、その金融機関からマンションの相続税の納税資金を借り入れた方がいいでしょう。
対処法5:相続放棄する
財産の相続を放棄する方法です。
相続放棄をすることで、マンションの相続税の支払い義務はなくなります。
ただし、相続放棄すると、マンションだけに限らず、他の財産も全て相続できなくなります。
例えば、相続財産が1億円あるのに「マンションの相続税1,000万円が払えない」という理由で相続放棄した場合、実質9,000万円(=1億円−1,000万円)を失ったことになります。
マンションだけでなく、他の相続財産の状況を確認してから、相続放棄するかどうかを決めた方がいいでしょう。
相続放棄は「被相続人が亡くなったことを知った日から3ヶ月以内」に手続きする必要があります。
手続きするときは、家庭裁判所に行かなくてはいけません。(ゆえに、弁護士・司法書士に依頼する方が多いです)
相続放棄するのであれば、なるべく早めに動いた方がいいと言えるでしょう。
マンションの相続税が払えないとどうなる?3つのリスク
マンションの相続税が払えない場合、主に3つのリスクが生じます。
リスクを理解し、適切な対処を講じることが重要です。
リスク1:延滞税・加算税が発生する
マンションの相続税を納付期限までに払えないで、未納・滞納してしまうと、延滞税が発生します。
「相続税申告しなかった」「相続税申告を誤った」という上で、マンションの相続税を納付期限までに払えなかった場合、追加で加算税もかかります。
種類 | 税率(注1) | 補足 |
---|---|---|
延滞税 | 2.4〜8.7% | 延納申請せずに期限内に相続税を納付しなかった場合に発生。 納付期限から2ヶ月間は2.4%、納付期限から2ヶ月経過以降の期間は8.7%。 |
無申告加算税 | 5〜30% | 期限内に相続税申告していなかった場合に発生。 相続税額・税務調査の通知有無・税務調査の実施前後などで税率が変動。 |
過小申告加算税 | 5〜15% | 正しい税額よりも少なく申告した場合に発生。 修正前後の相続税額・税務調査の通知有無・税務調査の実施前後などで税率が変動。 |
重加算税 | 35〜40% | 税額を減らすために相続財産を隠したなどの悪質な過少申告時に発生。 申告の有無で税率が変動。 |
例えば、次のような場合、マンションの相続税とは別に下表の延滞税・加算税がかかります。
- 相続税1,000万円
- 納付期限から10ヶ月後に納付(注2)
- 無申告(税務調査の事前通知を受ける前)
- 過少申告(税務調査の事前通知を受けた後、修正後の相続税額1,500万円)
種類 | 税額 | 計算式 |
---|---|---|
延滞税 | 62万円 | 1,000万円×2.4%×2/12+1,000万円×8.7%×8/12 |
無申告加算税 | 50万円 | 1,000万円×5% |
過少申告加算税 | 100万円 | 1,000万円×5%+(1,500万円−1,000万円)×10% |
合計 | 212万円 | 62万円+50万円+100万円 |
延滞税・加算税によって、マンションの相続税に関わる最終的な納税額が増加し、経済的な負担がさらに大きくなっていきます。
注2.無申告だった場合、申告した日が納付期限になります。
リスク2:財産を差し押さえられる
マンションの相続税を払えないで、未納・滞納の状態が続くと、税務署に財産を差し押さえられるリスクがあります。
税務署からの通知を無視した上で、半年〜1年払わないと、差し押さえが始まるケースが多いです。
相続したマンションだけでなく、自身で購入した持ち家・貴金属などの財産も差し押さえの対象となります。
差し押さえられた財産は、競売で現金化され、マンションの相続税に充てられます。
例えば、相続したマンションが差し押さえられ、競売で1,000万円で売れた場合、相続税を1,000万円支払ったことになります。
競売でのマンション売却価格は市場価格の50〜70%程度になることが多く、相続したマンションを自身で売却して相続税を納めるよりも、少ない金額しか納められないことが多いです。
必要以上に財産を差し押さえられることがあるとも言えます。
リスク3:個人の信用情報に影響が出る
マンションの相続税を払えないで、未納・滞納の状態が続くと、個人の信用情報が傷付くリスクがあります。
信用情報は「銀行・証券会社などの金融機関と取引するときに確認される」ものです。
信用情報が傷付くと金融機関と取引しにくくなり、次のようなことが起きる場合があります。
- 住宅ローンの審査が通らない
- 自動車ローンの審査が通らない
- 事業資金の融資審査が通らない
- クレジットカードの限度額が下がる
- ローンの一括返済を求められる
信用情報が一度傷付くと、元に戻るまで5〜10年かかると言われています。
マンションの相続税を払わなければ、以降の生活に大きな支障をきたす可能性があると言えます。
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【2024年版】マンションの相続税に関する最新情報
マンションの相続税に関する税制・法律などは定期的に変わります。
最新情報を知っておくことは、適切な対処を講じる上で極めて重要です。
2024年7月時点での最新情報を紹介します。
マンションの相続税制に関する最新の改正情報
最も大きな改正は、2024年1月1日から「相続税評価額が市場価格の60%未満のマンションでは、相続税評価額の計算方法が変わった」ことです。
高層階のマンションでは相続税評価額が市場価格の30〜40%程度になることが多く、「高層階マンションの相続税評価額があまりにも低い」という背景から、改正されることになりました。
新ルールでは、旧ルールで計算したマンションの相続税評価額(※1)に評価乖離率(※2)・評価水準0.6(※3)を掛けたものが、マンションの相続税評価額になります。
計算式は、「新ルールのマンションの相続税評価額=旧ルールで計算したマンションの相続税評価額×評価乖離率×評価水準0.6」となります。
※1 旧ルールの計算方法は、本記事の「マンションの相続税評価額の計算方法」に記載
※2 評価乖離率とは、市場価格と相続税評価額の乖離率のこと。計算式:市場価格÷相続税評価額
※3 評価水準とは、相続税評価額と市場価格の比率のこと。計算時は固定で0.6が掛けられる。計算式:相続税評価額÷市場価格
マンションの相続税評価額は「最低でも市場価格の6割程度」になります。
この改正によって、以前よりもマンションの相続税評価額が上がりやすくなり、マンションの相続税も増えやすくなりました。
例えば、次のようなマンションの場合、新ルールでの相続税評価額は1億3800万円(=1億円×2.3×0.6)となり、旧ルールのときより38%も増加してしまいます。
- 旧ルールでの相続税評価額:1億円
- 市場価格:2億3000万円
- 評価乖離率:2.3(=1億円÷2億3000万円)
- 評価水準:0.6(固定)
マンションが高層階であるほど評価乖離率が上がる傾向にあり、相続税評価額の増加幅も上がります。
高層階のマンションを相続して相続税が払えない場合、納税資金用の現金を以前よりも多く用意しなくてはいけない可能性があるでしょう。
マンションの相続税に関する最新の判例・裁判例
前述の通り、タワーマンションは相続税評価額が低くなる傾向にあり、相続税を大幅に節税できます。
ただ、税務署はタワーマンションでの節税に目を付けており、「タワーマンションの相続税評価額を路線価で計算すること」を否認するケースが増えてきています。
直近で話題になったのは、「2022年4月19に判決が出た税務裁判」です。
概要は次の通りです。
- 10億円借りてタワーマンション2室を13億8000万円で購入
- 購入したタワーマンション2室の路線価での相続税評価額は合計3億3000万円
- その他の資産の相続税評価額は合計7億円
- 相続税評価額は3,000万円(=3億3000万円+7億円−借入10億円)となり、基礎控除を差し引くと相続税は0円になった
- 相続発生直後にマンション1室を売却
税務署側はマンションの相続税評価額を時価評価で計算するように求めましたが、納税者側が拒否したため税務裁判に発展しました。
路線価での相続税評価が著しく不当な場合、税務署は路線価以外で相続税評価していいことになっています。
次のような事実をもとに、最高裁は明らかな租税回避と判断し、「マンションの相続税評価額を時価評価するのが妥当」という判決を出しました。
- 銀行へ提出した借入申請書に「相続対策目的」と記載されていた
- 相続税評価額が購入価格よりも大幅に低いマンションを購入している
- 相続発生直後にマンションを売却している
下記のように、相続したマンションが節税目的と判断されそうな場合、税務署に「相続したマンションの相続税評価額を時価評価で計算する」ように求められる可能性があります。
- 被相続人が亡くなる直前に「高額借入で購入したマンション」を相続
- 被相続人が亡くなる直前に購入した「相続税評価額が購入価格を大幅に下回るマンション」を相続
- 被相続人が亡くなる直前に購入したマンションを、相続発生直後に売却
マンションの相続税評価額を時価評価で計算した場合、路線価評価で計算したときより30〜50%程度高くなります。
言い換えれば、相続税の納税資金を30〜50%程度余分に用意しなくてはいけないということです。
節税目的のマンションを相続して相続税が払えない場合、自身の判断で安易に対処するのではなく、税理士などの専門家と相談しながら対処していくのがいいでしょう。
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マンションの相続税が払えないときによくある4つの質問
マンションの相続税が払えない方からよくいただく4つの質問と、質問の回答を紹介していきます。
適切な対処法を選択するために、ぜひ参考にしてください。
質問1:延納申請が受け付けられないことはありますか?
はい、あります。
延納には一定の要件があり、要件を満たせなければ申請が却下されます。(※ 延納の要件は「対処法1:延納を申請する」に記載)
よくあるのは、延納要件の「期限内に一括納付できない理由がある」を満たせていないケースです。
マンションの相続税の納税資金がなかったとしても、「相続したマンションを売れば一括納付できる」と判断されることがあります。
他にも「希望していたよりも延納期間が短くなった」などが起きることもあります。
延納を申請するとき、要件を満たしているかどうかは厳しく見られます。
マンションの相続税が払えず、延納を申請するのであれば、税理士などの専門家や税務署に「延納申請は通りそうか?」を確認してからの方がいいでしょう。
質問2:物納はおすすめですか?
あくまで個人的な意見になりますが、物納はおすすめしません。
物納の評価額は、基本的に市場価格よりも低く見積もられるからです。
例えば、市場価格1億円・評価額7,000万円のマンションを物納した場合、7,000万円しか相続税を納めたことになりません。
また、物納できる財産には優先順位があり、優先順位の高い財産から物納しなくてはいけません。
希望の財産を物納できるわけではないということです。
相続したマンションを物納したかったとしても、「自身で購入していた上場株式の方が優先順位が高い」と判断されたら、上場株式を物納しなくてはいけません。
物納はデメリットの方が大きいため、マンションの相続税が払えない場合は、物納以外の対処法を極力選んだ方がいいと考えられます。
質問3:相続したマンションを売るときのポイントは?
マンションの相続税を払えなくて、相続したマンションを売却するときの最大のポイントは、「なるべく長く売却期間を取る」ことです。
マンションは安くても数千万円、高ければ数億円になります。
購入者がすぐに見つかることはほぼありません。
相続税の納付期限は「被相続人が亡くなってから10ヶ月以内」です。
遺産分割や相続税評価額の計算などの相続手続きに時間がかかると、十分な売却期間を取れません。(注)
売却価格を大幅に下げないと、相続税の納付期限までに売れないことがあります。
マンションの相続税が払えず、相続したマンションを売却する場合は、売却期間が3ヶ月は取れるように相続手続きを進めていった方がいいでしょう。
注.名義変更が完了した後でないと、マンションは売却できません。
質問4:借金するのが怖いです。借り入れしても大丈夫なものでしょうか?
マンションの相続税の納税資金を借り入れることを、不安に感じるのは当然です。
あくまで個人的な意見ではありますが、返済の目処が立っていて、無理のない金額なのであれば、そこまで心配する必要はないと思います。
ただし、将来がどうなるのかは誰にも分かりません。
次のようなリスクもあります。
- リストラされて収入がなくなり、返済できなくなった
- 子どもの病気にかかってお金が必要になり、返済できなくなった
- 売却前提で借り入れたが、いつまで経っても売却できず、払いきれないほどの利子になった
- 相続したマンションを担保に入れて借り入れしたが、突発的な不景気でマンションの担保価値が下落し、追加の担保提供または全額返済を要求された
返済に遅れたら信用情報に傷が付き、「住宅ローンが通らなくなる」「クレジットカードが作れない」などの支障をきたすことがあります。
返済できなかったら、最悪の場合、自己破産しなくてはいけないこともあります。
マンションの相続税が払えず、借り入れするときは、金融機関の担当者や専門家に入念に相談して、リスクも理解した上で「本当に借り入れして問題ないか?」を判断しましょう。
借り入れのリスクが大きい・借り入れが本当に怖いのであれば、「延納を申請する」「相続したマンションを売却する」などの他の対処法を検討した方がいいでしょう。
まとめ
マンションの相続税が払えないときの5つの対処法を解説してきました。
- 延納を申請する
- 物納を利用する
- 相続したマンションを売却して納税資金に充てる
- 金融機関から借り入れる
- 相続放棄する
それぞれの対処法の特徴を理解するのはもちろんのこと、マンションの相続税の計算方法や特例制度、最新の税制情報・判例なども理解した上で、対処法を選んで講じていくことが重要です。
相続税の納付期限は「被相続人が亡くなってから10ヶ月」です。
「10ヶ月もある」と思うかもしれませんが、マンションの相続手続きには時間がかかることが多く、10ヶ月では足りないことが多いです。
「マンションの相続税が払えない」と分かったときには時間が残されておらず、専門家でも対処しきれないケースもあります。
マンションの相続税が払えないと、次のようなリスクも生じます。
- 延滞税・加算税が発生する
- 財産を差し押さえられる
- 個人の信用情報に影響が出る
マンションを相続することになったら、積極的に専門家に相談し、とにかく早く動き始めた方がいいでしょう。
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